朝方、寒さで早くに目覚める。枕元の目覚ましについている温度計は9℃ちょっとを表示している。猫も寒さに耐えられなかったのか、自分のベッドを出てきて私にぴったり寄り添って寝ている。よく見ればベランダにつながるサッシ戸を開けっ放しにして寝ていたのである。寒いのもあたりまえだ。なんで開けっ放しだったかは記憶が定かで無い。
それでも世の中はほぼ冬に向けて足早に変化しつつあるのだなと体得したので、今日は掃除も兼ねてリビングにコタツを出すことにした。何分にも築30年近いオンボロマンションなので、床暖房などという洒落たものはついておらず、仮に付いていたとしても、老後生活が破綻しないかと不安で、日々しみったれな暮らしぶりが定着しつつある昨今、そんな燃費の悪そうな暖房手段を使うわけもない。
いつもより5分は多めに掃除機をかけた後、テーブルを片付けて代わりにコタツを出す。狭い家なのにコタツの下に敷いていたカーペットやコタツ布団一揃いを発見するのに約30分以上かかり、おまけに発見したそれらの用具は、しまうときにそのまんま収納場所に放り込んでいたらしく、猫の抜け毛だらけである。なんとか妥協できるところまで掃除機で抜け毛を吸い取り、すべての作業が終わったら昼過ぎになっていた。
残り半日となった休日は買い物、料理、洗い物、洗濯などのルーチンワークであっという間に終了。これで5月の連休頃にはまたコタツをしまい、冬前にまた出すことの繰り返しをするんだな。それを今後20回ほどやればというか、やれなくなる頃には寿命も尽きるのか。結局私の人生はコタツの準備と片づけ以上のものではないのかもしれないなと、変に達観する晩秋の落日なのだった。