2015年11月26日木曜日

シルバー整髪

ここ10年以上、散髪といえば1000円の店しか行っていなかった。昔はホテルの整髪室なんか使って、数千円出していたこともあるが、今考えるととても正気の沙汰ではない。世の中に1000円床屋というものが広まり始めると、ごく当然のようにそちらを選ぶようになった。

安いだけではなく、10分そこらで終わるので生活時間を侵害しない。それに薄毛に悩まされる体質ではないという幸運もあり、妙な育毛対策も必要ない。そもそも大金かけて凝った作業を頭髪に施しても、それに見合うルックスを欠くので大した意味は無いのである。

そんな訳でずっと1000円床屋のお得意さんだったわけだが、いいことばかりではない。消費税アップ以降には1000円と言いつつ1080円取られるようになったし、シャンプーがなく、掃除機で毛くずを吸い取るだけなので、早めに入浴して頭を洗わないと気持ち悪い。風呂から上がったら妙にリラックスしてしまい、早くからワインなんか飲み始めたりして、休日のTO DOスケジュールは台無しとなることがしばしば。「生活時間を侵害しない」はずなのに。

引越し後、自宅の近くに「シルバー整髪」と看板に書かれた理髪店を発見した時には目が釘付けになった。60歳以上だと1600円でシャンプー、顔剃り込みの整髪をしてくれるというのである。520円アップではあるものの、この歳になったことで初めて具体的金銭的メリットを得られる機会だと思うと少々心が踊った。

そんな訳で、髪の毛も十分伸びたし、平日休みの今日、いざその店に出陣。久々の後ろに倒れるでかい椅子と、鏡の前に据えられたシャワー付きシンクに感激する。シャンプー中の「痒いとこありませんか?」の定例質問にも思わず笑みがもれて口に泡が入りかける。

初利用ということで顧客カードを作ってくれるのだが、「50代ですか?」というお世辞にも乗らず、「いえ60代です!!」とキッパリ。金がかかっている場合、多少の見栄など出てくる余地はない。そうして1600円を払って悠々と帰宅したのだった。ただ出るときに壁に掲げられた料金表を見てみれば、この店は若い人も整髪料が1900円らしく、いささかお得気分が減少したのは否めなかった。

2015年11月15日日曜日

久々の富士山

ここ何日か雨や曇が続いていたのが、久々に夕方になって晴れあがり、赤富士の如き山頂が顔を出している。引っ越してきた我が家からは一応富士山が見えるのだが、残念なことに手前のビルに半分ほど隠れてしまうのと、大きくベランダから身を乗り出さないといけないのが難点である。

最近不運が続いており、つるりとしたスマホなどで安易に写真を取ろうとすると取り落として大事故の加害者になってしまいそうなので、引越し荷物の底の方から回収した10年前ぐらいのデジタル一眼を持ち出し、ストラップが劣化していないことをよく確かめて写真を撮るべくベランダへ。

当然のごとく電池切れで、慌てて家捜しして電池を入れ替えている間に薄暗くなってしまったが、やはり富士は富士。勇壮かつ華麗な姿を暮れなずむ夕空に留めていてくれる。こちらの寿命が尽きるまでは、視界を遮る新しいビルが建たないことを願いつつ、今日一日の無事を富士に感謝する夕暮れなのだった。

2015年11月6日金曜日

スマホとiPadに大散財

先日の休みの日に朝寝していたら、どこからか聞いたことのない音楽というか、ジングルというか、言うならば携帯電話の呼び出し音のようなものが聞こえる。なんか判らんが自分とは関係ないと決め込んでいたら、今度は固定電話の呼び出し。中身は職場からの問い合わせで、すぐに終わったがどうして携帯にかけてこない?

職員が言うには、携帯に何度もかけたが出ないので固定電話にかけたのだと。してみると先程の呼び出しは私あてだったのだ。目がまだ覚めやらぬまま携帯を眺めてみれば、外部SDカードが読み込まれておらず、そこに保存してあった呼び出し音が消えていて別のものに切り変わっていたのだった。カメラや仕事関連のファイルもごっそり消えている。

修理のため貴重な休日をドコモショップで過ごすことになるが、ここがまたものすごい人出。数時間待ちとのこと。午後の予約時間前に出直すが、順番はまだまだ回ってきそうにない。ここには予診係みたいな人がいて、窓口に座るまでに問題を聞いてくれるのだが、カード自体の異常かも知れないし、本体の異常かもしれず、個人情報の観点からはカードを調べるわけには行かないのだと言う。

本体の検査修理には異常あるなしにかかわらず2万程かかるので、割引制度を利用した新機種交換とほとんど負担は同じなのだと。三年使っている今のアンドロイドには満足していたが、負担がそう変わらずに新機種になるなら交換のチャンスかもなと思ってしまった。あとは窓口で手続をと言ってその予診係は消えてしまい、私は更に待ちぼうけ。

そこに別のキャッチ系お兄さんが現れる。いまキャンペーンをやっていてスマホとiPadを同時契約すると通信費はほとんど増えない。iPadのハード費用もほとんど無料になるという。私は最初期型のiPadを持っているが、カメラはないしiOS9が入らないので使えるアプリは減るばかりという現状にいささか参っており、ハード無料で通信費も安いというなら交換のチャンスと思ってしまった。後にそれは大間違いと知れたが、キャッチ君の説明はどう聞いても「ほとんど費用はかからない」という内容であった。

やっと窓口に呼ばれ、スマホとiPadの契約をしたが、一括で10数万なんぼという説明。あれ、機種交換に2万程度とハードはほぼ無料じゃなかったけ。向こうの言うには月々分割の場合、通信料の大幅割引きでいままでと負担はほとんど変わらないのだが、一括ならハード費用はそのまま払ってもらうしかない。通信費はかなり安くなるので、二年の間には今日払う費用はほぼチャラになる(かもしれない)とのこと。

明日の100円よりは今日の10円という関西人感覚からはいささか受け入れ難かったが、今更どうにもならない。ドコモショップを出ると外はもう薄暗い。時間と金を無駄にしてしまった虚しさが、吹き始めた冬風に倍加される晩秋の夕暮れなのだった。