2014年4月24日木曜日

ロング・グッドバイ

私は滅多にテレビを観ないのだが、たまたま先週土曜日の夜にニュースでも観ようかとテレビをつけたら、NHKでレイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」の翻案ドラマが始まるところであった。

舞台をロスから東京と思しき当たりにうつし、時代設定はほぼ同じ1950年代初め。当然登場人物は皆日本人。フィリップ・マーロウ役は浅野忠信演じる増沢磐二と言う私立探偵。テリー・レノックス役は綾野剛と言う若手。結構有名な俳優らしいが私は全然知らない。

正直言って大丈夫かいなと思って見始めたのだが、これがなかなかサマになっている。適度なお洒落さと汚れを共存させた戦後都市の造形がTVとは思えぬ重厚さだし、音楽も決まっている。5回で完結するらしいが、もったいないことである。DVDが出るなら買っておきたいと思わせる出来。もちろん、一回目の質が今後も維持されればの話だが。

ロング・グッドバイは「長いお別れ」と言う題名で清水俊二によって原作発表直後には訳されていたが、2007年にかの村上春樹が新しく訳し直している。私がチャンドラーにハマったのは大学生の頃で、清水訳にどうもあきたらず無謀にも原著に挑戦したが、当然のごとく途中で挫折している。

正確さという点では後から訳した村上春樹訳の方がかなり上なのは当たり前で、何度もノーベル賞候補が噂される作家のこと、ブンガク的雰囲気も素晴らしいのだが、ことハードボイルド文体と言う点になると清水訳が捨てがたいと思うのは、初めにそちらを読み、何度か繰り返して読んだからだろう。

最も私は、読むたびに筋も登場人物も忘れ、いつも新鮮な感覚で物語に接するばかりか、乏しい記憶の中ではテリー・レノックスと大鹿マロイがごっちゃになってしまったりするので、文体だの訳の正確さなんか関係ないんですがね。

1 件のコメント:

  1. 私も視ましたよ、これは日本のものではないなと思いましたがやはりそうでしたか!
    モノトーンの美しい映像でしたね・・・
    小雪が美しく妖艶さを且つ品の良さがにじみ出てましたね、

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