2014年5月1日木曜日

バルテュス展


本日は大型連休を更に彩ってくれるデューティ抜きの平日休みと言うまたとない日なので、ぼんやりすごすのも勿体ないと、はるばる上野の東京都美術館まで出かけ、開催中のバルテュス展を鑑賞。

バルテュスについて私の知っていることは乏しく、シュールリアリストたちとの付き合いが多かったのに自分は具象にとどまったとか、歳を取ってから若い日本人女性と結婚したとか、猫をよく描いたとかいう程度の下世話なものばかり。

展示はおおまかに4っに分かれており、一つ目はバルテュスにとっての「青の時代」と言える、何だか印象派のしっぽをぶら下げているような10代から20代初めの作品群。初々しくてなかなかいい。

作風はだんだん艶かしくなり、悪く言えばスキャンダラス、もっと悪く言えば芸能雑誌のイラストみたいな感じになるのだけれども、私のような俗物にはこの時代の作品群が一番しっくりくる。上の「夢見るテレーズ」なんて、賛否両論、喧々諤々だったらしいが、いいじゃん、ロリコンと言われたって。

その後彼はブルゴーニュの城館にこもり、風景画に熱中することになるのだが、きっと画商たちはのんびり牛が歩く森の風景の絵なんかを前にして慌てたことだろう。やっぱバルテュスは少女だ、ということでモデルとして義理の姪が送り込まれたりしているが、スキャンダラスさは消えてさらに洗練された物になっている。

日本人女性と結婚して浮世絵風の絵-私には更に古い絵巻物風に見える-を書いたりしているのをどう評価するのかは少々私には荷が重い。何となく才能の無駄遣いのような気がしないでもない。それと、この人は具象表現を貫いてきたわけだが、これだけの作品を並べて鑑賞して判るのは、やはりそれは象徴的具象なのだということ。妙な格好の物を書くことだけが日常性を超える方法ではないようだ。

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