2014年8月3日日曜日

1Q84

休日約3日を消費して村上春樹の”1Q84"を読み終える。なんで今頃5年前のベストセラーを読んだのかというと、アマゾンの古本コーナーで三冊セットが安く売られているのを見つけたと言う単純な理由。

私は村上春樹の絶大なファンと言うわけではないが、読めば確実に面白く、それなりに考えさせられるところ大な作品を生み出し続けている人だとは認識している。しかし社会現象的に売れる理由まではわからない。古本や文庫で安く買えれば読んでおこうと思う程度。

2009年にこの本が出た時、私は題名を”IQ84"だと勘違いし、やや低めに位置する知的能力のフイルタで見る世界の相貌といった趣向の小説なのだろうと勝手に決めていた。よく見れば一字目がIではなく1であった。活字のニュースだけ見ているととんでもない間違いをすることもある好例であろう。

”1Q84"には当然ジョージ・オーウェルのディストピア小説"1984"も下敷きになっているのだろう。ビッグ・ブラザーならぬリトル・ピープルなんてのが出てくるとこからもそう予想して読んでいったのだが、ユートピアを求める団体との関係が大きなモチーフになってはいるものの、それがメインのテーマではないようだ。

一言で言えば間違って入り込んでしまった世界からの脱出譚というパラレルワールド物SFだ、と言うのはあまりに乱暴なまとめになるが、その活劇ストーリーを追いながら個々のシーンでの村上春樹独特の洒落た文体と描写を楽しめたので、まあ充分以上の商品価値を与えてもらえたことになろうか。

疑問点を上げれば、なんで作者はそう必然性があるとも思えないのに、あれだけ克明なポルノ描写を重ねないといけないのだろうかという点。私のような純情老人見習い期をのほほんと過ごしている読者には、そこがいささか居心地の悪さを感じさせるところである。まさか、人がコソコソせずに堂々とポルノを読めると言う理由でベストセラーになったのではないだろうね。

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