2016年3月3日木曜日

立体駐車場

私の住んでいるマンションには平駐め、というかもっとうまい言い方があるような気もする普通に敷地の片隅に駐める駐車場と、機械式の地下一階+地上二階式の駐車場があり、後者は平駐めより月2000円ほど安いので、私は契約時には迷わず機械式を選んだ。

自分に割り当てられた番号を入力すると、9つの駐車パレットがかなり複雑な動きをみせた末、目の前に自分のパレットが出て来る。ほぼ6ヶ月になるのにいまだにその動きの法則性をつかめず、どんなに急いでいる時でも出入庫が可能になるのをぼんやり待っていないといけない。そんな時に限って尿意が切迫していたりするのもこれまた不思議で、なるほどこれが月2000円の代償なのかと思い知る。

昨夕帰宅して入庫しようとしていたら、普段の私が利用する位置の隣に入っていた北欧車が地下に沈み込んで行く際に、とんでもない異音を発し始めた。コリャ異常事態だと思うのだが、リセットボタンを押せばいいという発想が出てこない。そうこうしていると北欧車は45度の角度まで傾き転覆寸前になった。薄暗い照明の元で見えたのは、その車の後部座席のドアが開いたままになっていて、駐車設備の枠に引っかかってひっくり返りかけている姿であった。

その直後、頑丈さで世界的に知られているその車の後部ドアは完全にひしゃげてしまい、引っ掛かりから脱した車は駐車設備の一部をぶっ壊しながら、派手な音を立てて通常位置に収まった。あまりに大胆な展開に、緊急連絡先に電話を掛けるのにもしばらく時間がかかったが、本当のことを言うと、どこまで自分に責任があると言われる可能性があるのか、小ズルく考えこんだからに他ならない。私が入庫しようとしなかったら北欧車は無事だったんだし。

結局管理会社に連絡し、やってきた係員からは何のお咎めもなく、「ドア開けといた人の責任ですから」という力強いお言葉を頂き一件落着。私の仕事ではね、明らかな自己責任を、たまたまそれに立ち会った人間のせいだと非難するのが当たり前だと考える人が結構いるんですよ。そんな理不尽さにも出会わず、その夜は安眠。今日になって、北欧車の持ち主からは菓子折りまで頂き、この世はそう悪いところでもないと心も弾んだ早春の一日だった。

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