2015年7月20日月曜日

お客様は徳尾君

休みだというのに朝早くからノエルが落ち着かない。何度も枕元にやってきて「はよ起きんかい」とばかりに猫パンチを繰り出してくる。まだ6時前なんだが。

腹が減ったのかと思い、仕方なく起きだしてみるが、猫のご飯皿にはたっぷりカリカリ餌が残っているし水もある。もしかしたらとベランダを見てみれば、そこに佇むお客様猫を発見した次第。

ノエルの残り物で申し訳なかったが、カリカリご飯を振る舞うと一心不乱に食べ始める。ノエルは遠巻きに眺めるのみ。この猫はマンションの隣の一軒家に一人で住んでいた婆様が飼っていた猫で、名前は徳尾君。尾っぽにボリュームがあり、いかにも徳がありそうだからそう呼んでいたのだそうだ。

もっとも飼っているとは言え殆ど外猫で、複数の家をパトロンにして渡り歩いていたようだ。ところがメインの婆様が3年ぐらい前から姿を消してしまい、家も締め切られたままになった。急な病気で身罷ったか、それともボケて施設にでも入ったのか。

かくして取り残された徳尾君は本物の外猫になり、家々を巡って喜捨を求める生活を本格化させることになる。さすがに少々薄汚れた外観にはなったものの、今も栄養は満点で自慢の尾っぽも堂々とその威容を放っている。食べ物を要求すると言っても騒ぐわけでもなく、ただ存在感を発しながら静かに施しを待つだけ。

そんな徳尾君のより良き生活に少しでも寄与してあげたいのだが、3年余りの完全野良暮らしは彼の人間観をかなり厳しい物にしたようで、依存はしてくるものの警戒を絶やさない。今朝もせめてブラシでもかけてやるかと近づくと、餌も放棄して逃げ出してしまった。婆様がいた頃はいつの間にか家に入り込んで昼寝してたりしていたんだが。

まあ何であれ、これも一つの縁。お互い生あるうちは一期一会を楽しみましょう。ただ、振る舞ってあげたご飯は最後まで食べてね。

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