ポーランド系なのか、リボウスキーという妙な名前の持ち主が主人公。彼は60年代の反戦運動活動家崩れで、今はマリファナとボーリングに明け暮れるプー太郎。
ある夜、強面の借金取り二人組に自宅に押し入られ、手ひどい暴行を受けるが、理由は彼の妻が多額の借金を作って返さないということだと言われる。ん? 俺独身なんだけど。
同じ名前の富豪と間違えられたらしく、ボーリング仲間はその富豪から幾らかのお詫び金をせしめるようにと焚きつける。当然相手にもされないが、後になってその富豪から、「妻が誘拐されたので100万ドルの身代金の受け渡し役をやってくれ」という依頼が来る。
多分富豪の若い妻が起こした偽装誘拐だろうと、小遣い稼ぎのつもりでそれに乗る主人公。ところがボーリング仲間が金を犯人から横取りしようと強引に同行してきた挙句、犯人との接触をぶち壊しにしてしまう。
まあおよそ、無能な主人公達のやることなす事、全てが事態を悪くするばかり。それでも次第に真相が明らかになってくるのだが、それは無能なのは主人公たちだけではないということ。
「ファーゴ」でも偽装誘拐事件が扱われていて、無能な犯人たちの行き当たりばったりが悲劇を拡大し続けるというものだったが、こちらの映画も無能と無能がぶつかり合って物語が紡がれていくというもの。しょせん人間がやることはこんなもの、だから面白いんですよね、というメッセージが伝わってくる。
「ファーゴ」にあった陰惨さもなく、誠に楽しめる一遍だった(スティーブ・ブシェミは今回も損な役回りだったが)。CDケースには「レイモンド・チャンドラーへのオマージュ」と書いてあったが、むしろ赤塚不二夫の漫画を見ているようである。「これでいいのだ」は常にグローバル・スタンダードというのが最終的印象。
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